放射性ヨウ素が基準を上回る濃度で測定された水道水の摂取に関して、3月24日に、日本小児科学会、日本周産期・新生児学会、日本未熟児新生児学会の共同見解が出されました。
短期間の摂取であれば、乳児の健康に影響を及ぼす可能性は極めて低いので、水分摂取不足による健康被害は避けること、また、多くのミネラルを含む硬水摂取による健康被害のほうが憂慮されるので、通常通りに水道水を使用するのがよいこと、という内容です。
以下、全文を掲載します。冷静に対応しましょう。
「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値100Bq/キログラムを超過する濃度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」に関する、日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解
平成23 年3 月24 日
日本小児科学会
会長 五十嵐 隆
日本周産期・新生児医学会
理事長 田村正徳
日本未熟児新生児学会 理事長 戸苅 創
「乳児による水道水の摂取に係る対応について[平成23 年3 月21 日健水発第2 号厚生労働省健康局水道課長通知])」に基づき、乳児による水道水の摂取を控えるように各自治体から呼び掛けが行われています。そのため、各地域で、乳児のいる家庭、乳児を預かる保育所、乳児が入院する病院等で大きな混乱が起きています。しかしながら、この指標値は月あるいは年単位で摂取した場合に設定されたものです。したがって、短期間の摂取では、乳児であっても、健康に影響を及ぼす可能性は極めて低いと言えます。一方、乳児の水分摂取必要量は成人に比べて多いため、短期間であっても、水分摂取不足は重大な健康障害を起こします。このため、飲用水が確保できない場合には、水分摂取を優先させて下さい。
なお、学会としては、当面の対応として以下のようなことを推奨します。
1) 母乳栄養の児では、母親は制限なく食事を摂取し、母乳栄養を続けてください。
2) 人工栄養の児では、ミネラルウォータを使用してミルクを調整することは可能ですが、煮沸し適温にしてから使用します。
一部の硬水では、粉乳が十分に溶解しないことがあります。
また、硬水には多くのミネラルが含まれており、乳児に 過剰な負担を与える可能性があります。
この場合には、水道水を 用いる方が安全です。
3) 離乳食を摂取している乳児では、水分摂取は離乳食からも可能なので、人工乳の量を減らすことは問題ありません。
4) 人工乳のみを摂取している児で、代用水が確保できない場合には、通常通り水道水を使用して下さい。